『ゲーム開発者は『暴プリ』を買うべし!』

--太田出版『CONTINUE』編集部より、多根さんのテストプレイ記

管理人注:
2001年11月、太田出版さんのゲーム総合誌(本当に色んな意味で総合誌)『CONTINUE』さ んが、桝田さんにインタビューするためMARSにおとずれてくださいました。この時期、実はこの「ユーザープレイレポート企画」の真っ最中。そこで同席し た当サイト管理人と桝田さんは、「遊んでみていいですか?」とおっしゃるCONTINUEさんに対し、「今遊んだ人はあとでレポート書くんですよ(笑)」 と応酬。
… 笑いながらご快諾くださった担当ライターの多根さんは、インタビューの締め切りとプレイレポート(ギャラ無し)の締め切りを同時に抱えてしまうことになるのでした。合掌。
それでは、ラインより下からが多根さんの原稿になります。お楽しみください!



 僕は桝田省治氏のPCエンジン+CD-ROM^2での新作を待ち望んでいる。そんなの非現実だし『デッドオブザブレイン』どころの騒ぎではない季節外 れっぷりになるから言っても詮無いんだが、心情としてそうなのだ。だって『俺の屍を越えてゆけ』なんてハード上、少なくとも見かけの上ではPSである必然 性がないじゃん。それはとんでもなく痛快事で、発想とシステムとシナリオの総体っていう、外殻を吹き飛ばしたゲームのコア部分が、なみいるポリゴンの未消 化物を一蹴してまかり通った軌跡が、ちゃあ〜んと売上げの本数に現われている。グラフィックの3D化は反面で「ゲーム世界への現実の浸食」でもあり、要す るにPCエンジン(並み)の勝利とは、ゲーム全体の勝利なのであると小一時間言いたいのだ。

 なのに、桝田さんまで3Dなの?と『暴れん坊プリンセス』の発表を見てガックシ。でもムービーとか実際のモデリングを目の当たりにすると、逆にむくむく と興味が盛り返して来た。失礼を省みなければ、もう立派な「逆境」である。そして『サイバー大戦略』のヘルプ仕事で発揮された、「逆境」への大反撃にまた 刮目できるんだ!と失礼の二乗もいいところの期待で胸をイッパイにして、当日のMARSでの桝田さんインタビュー=『暴プリ』実物(β版)との出会いに臨 んだ次第なのだ。

 で、桝田さんいわく「午後は熱でスピードが落ちる」PS2(開発用機器)で、思いっきり午後もたけなわにテストプレイを開始。ふ〜ん。へ〜。ほぉぉ〜と いう風に、とりあえず眺めてろっていうプロローグ部分をぽんぽん飛ばし(ゲームショウで見たし)、本編に突入。うわ、普通の3DRPGみたいだ! 壁の影 になった所はシースルーになって見通しを確保していて、「自分のキャラを求めてさまよう」不思議な苦労をすることはない。「ガンパレ」の書き割りチックな マップから、アルファ的に進歩が伺えて好感度1↑。
 ……と思ったんだけど、いや迷う迷う! 道を覚えるのって、ほんのささいな「動かないもの」が頼りになってたりするんですよ。あの穴ぼこが開いた塀を さっき見たよな〜とか、そこから記憶をたぐっていくことが多いわけで、パカパカ透明になられると、手がかりが消えて大弱りになる局面も多数アリ。すると、 案の定「迷ってませんか?」と城の出口を教えてくれる兵士がいて、やっぱりフォローしてるよ!とひそかにニヤリ。
 で、ようやくルージュの部屋に到着。キャラクター同士のかけ合いについては全く文句ナシ。でも僕が”しっくり”来るってのは、ギャルゲーファン的 な”しっくり”とは違うんじゃないかなァ〜??とチョイ疑問。それは『セーラームーン』の”しっくり”や『Gガンダム』の”しっくり”で、『シスタープリ ンセス』の”しっくり”ではないッスよね。とか思いつつも、『サクラ大戦』シリーズの重量感がヤクトティーゲルぐらいとしたら、『暴プリ』のそれはM4 シャーマン戦車だし問題なし!と『パンツァーフロント』的な納得をしてみることに。
 で、城下町に出てみると、各イベントの連鎖が小気味よく、次に早く進み……ロード、よしまた小気味良く……ロードと、じわじわ利いて来る例のアレ。にも 関わらず飽きさせないシナリオ展開というのは、どうにも「綱引き」をして僅差で勝ってる、感が強い。といっても、システムもイイ線まで行っていて、最後の ボーダーを乗り越えさせるのに桝田シナリオが後押しぐらいなので、あとはチューニングの問題ではないッスかね。

 そんなわけで、やって来ました戦闘シーン! 激速えェ! トレーニングも兼ねた1面ということで深い評価はできないとして、基本コンセプトは「せっか ち」と理解できます。目玉の「相殺システム」も、実際遊んでみると「相手が殴ってくるまで待つヤツぁいねえ!」と江戸っ子の匂いたっぷりで、小難しそうで 敬遠はソンでしょ。

 「やーい、素人に(1面のスコアで)負けてやんの」とジャスミンが誉めてくれてンのに容赦ないお言葉をかけてくれる原作者様の横にいて、僕はてなことを 考えていたのだ。本作は、「発展途上で意欲的なシステムを何としてでも世に出す!」と決意している多くのゲームクリエイターさんなら、是非とも「桝田省治 的パズルの解き方」として、絶対1本買っとくべきではないでしょうか(笑)。





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