昨年はプロデューサーである芝村氏にインタビューを決行した我らが取材陣。
前回の芝村氏インタビューで、社長である佐々木氏の火の玉っぷりがたくさん暴露されました(詳しくは芝村さんのインタビューをご覧ください)。
ああ、佐々木社長ってどんな人なんだろう?本当に、そんなはじけた社長さんなのかしら?インタビュアーであるワタクシは、それが気になって気になってどうしようもなく、いつか佐々木社長にお話をうかがおうとその時を待っていたのでした。

そして その時が来ました!
さあ、アルファシステムの社長、佐々木哲哉氏ってどんな方なんでしょう…?

…実は、インタビューの後、次の週再び熊本に行きました。
理由は『ガンパレ一周年記念祭』があったからです。場所は『ガンパレ』ファンならお馴染み『味のれん』。今回掲載した写真はそのときのものです、そちらも楽しんでくださいね!(ていうか、毎週熊本行くなよ、自分。)

味のれん店内。
手作り感イッパイの校旗が飾ってありました。

これはイベント限定の装飾ですけど、店内には普段からキャラクターデザイナーの木村さんの色紙が飾ってあるのです。


■「日本一、自社のゲームで遊ぶ社長」登場!〜

「僕がしこたま遊び始めたら、社員が安心するらしいんですよ」

――『ガンパレード・マーチ』の星雲賞獲得、おめでとうございます。星雲賞と言えば、SF界では伝統と権威のある、かなりの名誉ですよね。

 ビックリですよね。

――ここまで来るとは、予想してましたか?

 CESAのゲーム大賞にノミネートされてる時点で、「ホントかよ!?」って、すでに大笑いしてたくらいです(笑)。

――CESA大賞での『ガンパレ』は、とにかくユーザーからの票がモノ凄かったみたいですね。

 ウチは何もしてなかったんだけどねぇ(笑)。皆さんが強力に支持してくれたようです。
 何しろ『ガンパレ』って、いまだに毎月6000本くらい売れてるんです。発売から一年も経ったのにこれだけ動きのあるソフトなんて、ホント珍しいですよ。

――『ガンパレ』は、ホントにユーザーの熱が冷めないゲームですね。ウォーシミュレーション派にも愛されてるし、恋愛シミュレーションのようにキャラクターも愛されてるし。

 ジャンルを特定できないゲームだよね(笑)。これには理由があって、最初の設計段階で「いろんなジャンルに当てはまるようにしよう」と決めたからなんで す。どこに置かれてもいいようにと思って決めたんですけど、ショップに行ってもどこに置かれてるか分からなかった、っていう落とし穴が(笑)。

――ちなみに、メーカー発表のジャンル名は何ですか。

 知らない。別にウチ、決めてないし(笑)。

――(笑)一応パッケージには「学園・戦闘シミュレーション」って書いてありますね。SCE側でつけたんですかね。

 会社として考えていたのは「まったく新しいゲームを作れ」ということ。だから本当は特定のジャンルとは言えなくて、『ガンパレード・マーチ』っていうジャンルなんです。

――一方では、「シューティング」という非常に分かりやすいジャンルの『式神の城』も作っているわけですが。

 まあシューティング自体はもともと作ってましたし、スケジュールの都合などもあって、状況的にもシューティングを作るのがベストだったので。あれはあれで、凄く遊べると思います。キャラクターによって戦略も全然変わっちゃうし。
 あ、『式神の城』は、どうやら社内でも僕が一番遊んでたらしいです(笑)。

――『ガンパレ』では1200時間プレイなんていう伝説もありますしね(笑)。

 社内でもヘンな風潮があって、僕がしこたま遊び始めたら、社員が安心するらしいんですよ(爆笑)。

――さすが、芝村さん曰く「日本で一番ゲームで遊ぶ社長」だけありますね。

 違う違う、正しくは「日本で一番、自分の会社のゲームで遊ぶ社長」(笑)。

――1000時間も遊んでる社長なんて、他にいませんよ(笑)。『ガンパレ』のときは、朝から晩まで会社でプレイして、家に帰ってさらにプレイしていたとか。

 確かに、家でもデバッグプレイしていたことはありましたね。でも『ガンパレ』の場合は、やるたびに新しい発見があったんですよ。

――作ってる側が“発見”って(笑)。

 いや、いつも資料も何も見ずにプレイしているので。だから『ガンパレ』では、僕もいまだに一回も見たことのないイベントがあるんですよ。例えば、この間 もかなりやり込んでいる濃いファンの方たちと話していたんですが、「原のネコミミ」イベントを知ってる人は半分くらいしかいなかった。そのくらい、奥が深 いんです。

■芝村裕吏、アルファ・システム入社のヒミツ

「見た目がウサン臭いんで、怪しんでたけど……」

――『ガンパレ』では誰とも組まず、完全に自社オリジナルのゲームを作られたわけですけど、このタイミングでオリジナル作品を制作された理由は何ですか?

 例えば、もし桝田さんが何かの理由でゲームを作らなくなったとしたら、ウチはウチで何かやらなきゃいけない。でも「桝田のアルファ・システム」という形 でしか仕事が取れなければ、もう先がない。それに、桝田さんだって二本三本の複数タイトルをいっぺんには制作できない。だから、社内でいくつかの企画が立 ち上げられるような体制にしておかないといけないんです。
 ウチは今、桝田さんの企画、芝村の企画、『式神の城』のような芝村以外の社内企画、それに外からの企画と、いろんなスタイルの企画に対応する体制が取れてるんで、うまく行ってると思います。

――ちなみに『暴プリ』でもおなじみの芝村さんが御社に入られたのは、いつ頃ですか。

 もう結構古いですよね。6、7年くらい前かな。

――最初の印象は、どんな感じでしたか?

 ウチは入社試験のときに企画書を出させるんですけど、実は芝村の前に、ウサン臭い奴が来たことがあったんですね。そいつは凄い企画書を出してきたんです けど、面接で企画書の内容について聞いても、答えられない。どうも別の奴が作った企画書を持って来たみたいだったんです。
 それで僕らも警戒してた頃に、芝村が面接に来たわけです。見た目が充分にウサン臭いんで(笑)、みんな怪しんでたんですけど、企画書の内容についても実 に論理的に解説するし、こういう奴がいてもいいんじゃないか、ということで僕が採った……らしいです(笑)。

――覚えてないんですか(笑)。

 覚えてないんですよ。ただ、基本的にウチの方針は「悩んだら採るな」なんで、芝村についても迷いはなかったんじゃないかな。書いたモノもすべて記憶してて、質問にも的確に答えていたから、頭も回ると思ったし。

■盟友・桝田省治との関係は!?

「お互いの仕事は信頼しあってると思います、でも……」

――桝田省治さんと初めて仕事されたのはいつ頃ですか。

 最初は『天外魔境』(発売元:ハドソン)じゃないかな。それ以前にも、お互い名前も出さず顔も合わせずで仕事してたこともあるかもしれないですけど。直接の仕事は『天外魔境』だと思います。

――第一印象はどうでしたか。

 忘れた(キッパリ)。

――いつ会ったかも定かじゃないくらいですからね(笑)。でも、今はいいパートナーという感じですよね。

 うん、お互いの仕事については信頼しあってると思います。でも人物を信頼してるかどうかは、お互いに分からないよぉ〜?(爆笑)。まあホラ、確実な仕事ができれば、どういう人物かは関係ないし(笑)。

――(笑)でも、お互いの信頼関係は深いですよね。桝田さんも「自分が全部指示したら80%程度のモノしか作れないから、あえてアルファには最低限の大事なところだけを伝えて任せる」と言っていたくらいですから。

 確かに、それが桝田さんとウチとの仕事のやり方ですね。でも桝田さんが他の会社でそれをやっちゃうと、何にも出来上がらないんですよ(笑)。

――桝田さんもそう言ってました(笑)。

 ゲームの楽しみ方と同じで、最近の多くのゲームユーザーみたいに、開発者にも、全部を見せてあげないと分かってくれない人が多い。桝田さんと仕事をする には、『ガンパレ』を遊ぶみたいに、シーンとシーンの間を補間して読むような感覚が必要なんですよ。

――なるほど。

 遊ぶ側も含めて、全体的に想像力がなくなってきてるような気がしますね。ゲームの側が、遊び手の想像力をなくさせてるんだと思うんですよ。
 ただ、それがいいのか悪いのかは、非常に難しい問題でもあります。

――今の中高生くらいのユーザーは、最初から「全部見せてくれるゲーム」で育ってきているわけですからね。逆に、『ガンパレ』から昔のパソコンゲームのよ うな面白さが感じられるのは、『ガンパレ』がユーザーに想像する余地を与えてくれるゲームだからなんでしょうね。

 想像させるように作ってますからね。同じセリフを言うのでも、例えば「Hな雰囲気」と出て、そういう雰囲気の曲がかかっていることで、想像しちゃうワケ ですよ(笑)。「そなたが昨日、××したからだ」というセリフを言っても、もし普通の音楽だったら、普通の会話に見えるモノなんです。でもそれなりの雰囲 気が作ってあれば、「何しちゃったんだ!?」と思える(笑)。
 だから、想像させようとする仕掛けが必要なんですね。そう考えると『ガンパレ』の場合は、ユーザーに想像してもらうためには、派手な演出やグラフィック みたいに立派なモノを入れていくより、ある程度で抑えておいたのが良かったのかな、という気もしますね。

■『暴プリ』は魂のこもったゲーム!

「シーンのひとつひとつで、キャラが生きてるんですよ」

――アルファ・システムとしては、『暴プリ』はどんなタイプのゲームなんですか?

 『暴プリ』は、『ガンパレード・マーチ』とはまったく逆だと思ってるんですよ。僕はよく、『暴プリ』はアルファ・システムと桝田さんのマーズ、キャラク ターデザインの桜瀬さん、それにポリゴンマジックが揃って作った『ファイナルファンタジー』だ、と称してるんです。
 普通に考えたら、この面子が揃ったら、絶対ゲームは出来上がらないよねぇ、と思いますよね(笑)。でも、あえてその面子で『ファイナルファンタジー』を作ったらこうなった、というノリです。

――『ガンパレ』が行間を読むことで成立しているのに対して、『暴プリ』はその部分も含めて、全部提供しちゃえ、って感じですね。

 セリフは、最初から三石琴乃さんをはじめとする声優さんが全部喋ってくれるし。この量もハンパじゃないですよ。メッチャクチャにパターン数があるんで、 多分、全部のセリフを聞ける人はいないと思う。○○○のシーンや△△△のシーンなんて、僕も見るたびに笑っちゃいますからね(笑)。

――ネタバレなんでその辺で(笑)。でもホント、ユーザーさんにも早く見て欲しいですよね!

 ユーザーさんに見て欲しいのは、キャラクターが生きてる、ってところ。キャラが、確かにそこにいるんですよ。ポリゴンのルージュやココが、そこにいて、 ちゃんと演技をしてるわけです。コレをぜひ見て欲しい。ありがちなポリゴンキャラクターと違って、魂が入ってますから。

――出ましたね、“魂”!(笑)。
(注:芝村さん曰く、社長は『ガンパレ』を最初に見たとき、「芝村、このゲームには魂がない!」と言い放ったとか。でもやり込んだ後には、キッチリ「芝 村、このゲームには魂がある!」と『ガンパレ』を絶賛された、というエピソードがあるそうです。)

 『暴プリ』は、ホントにシーンのひとつひとつで、キャラが生きてるんですよねぇ。ポリゴンマジックさんは、本当によくやってくれましたよ。ポリゴンマ ジックさんの作った「魂を込めたポリゴンの演技」と、三石さんをはじめ、声優さんの「魂を込めた演技」、コレが完璧にマッチしてるんです。

――ポリゴンキャラクターの表情の数もハンパじゃないですからね。

 ホント、ハンパじゃない。キャラの顔が、まぁ動くこと動くこと。表情だけでも、モノ凄い枚数がありますから。ホント、よくやってくれましたね。

と、ゲームのことを熱く熱く語ってくださった佐々木社長。次回ではアルファシステム創立の謎について語ってもらっちゃいます。


熊本取材紀行

熊本取材紀行〜第1話
熊本取材紀行〜第2話

 

佐々木社長ゲームを語る
佐々木社長アルファを語る



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